STIフードホールディングス

CEO Interview

十見社長に聞く
「グローバルカテゴリーキラー」に向けての展望

上場3年目を迎えたSTIフードホールディングス。
十見裕代表取締役社長に、2022年12月期の振り返りと今後の経営戦略について聞きました。

十見社長

原材料費、水道光熱費等が利益を圧迫した試練の1年。
フェアな価格改定、新商品の投入等の施策で対応。

過去5年間、平均30億円の増収を積み上げて成長を続けてきた当社にとって、2022年12月期はまさに試練の年でした。2019年に子会社のSTIデリカ(株)による大手食品会社の生産工場買収で経常利益が圧迫されたことがありましたが、その時よりも大変な年だったと感じています。

経常利益が圧迫された理由は、原材料費、人件費、水道光熱費、物流費の増加です。突出して大きかったのは原材料費です。当社の場合は鯖や鮭、おにぎり具材の魚卵類などがそれにあたりますが、その高騰ぶりは期初予想の1.5倍と、想像をはるかに超えていました。人件費については長引く入国制限によって外国人研修生が入国できなかったことが響き、水道光熱費は世界情勢の悪化による石炭や液化天然ガス(LNG)の輸入価格高騰の影響を受けました。大企業やそのグループ会社の場合、国の補助を受けられないため、電気代が跳ね上がると工場の経営に直撃してしまうのです。

そうした状況に対し、当社はリニューアルを伴うフェアな価格改定、新商品の投入、良品製造の徹底等の施策で対応させていただき、通期の業績は、売上高275.6億円(前期比105%)、経常利益15.2億円(同87.6%)、当期純利益10億円(同90.6%)となりました。期初には船橋工場の火災という不測の事態にも直面しましたが、概ね業績予想どおりの着地となっています。

売上高

前期比105.0%

グラフ:売上高

経常利益

前期比87.6%

グラフ:経常利益

当期純利益

前期比90.6%

グラフ:当期純利益

技術力に絶対的な自信があるからこその価格改定。
替えのきかない商品として評価されていることを証明。

価格改定については誠に心苦しい想いでしたが、当社の強みは鯖、鮭、ほっけなど、旬の素材が持つうま味を、調味料に頼ることなく最大限に引き出す技術力です。それをベースとした品質に絶対的な自信があるからこそ、リニューアルに伴った値上げに踏み切らせていただきました。消費者の皆様に受け入れていただけたのは、替えのきかない商品として評価されているからだと自負しています。

それを改めて実感したのが、国内トップシェアのコンビニチェーン・セブン-イレブンで展開された『セブンプレミアム』15周年キャンペーンでした。2022年8月にスタートしたこのキャンペーンでリニューアルした当社の『さばの塩焼』がトップクラスの売上を記録したのです。厳しい局面でも自社の技術力を信じ、妥協することなく品質を追求すれば結果はついてくる。そう感じることができたキャンペーンでした。外部環境が厳しさを増すなかでもフードロスの削減と一貫生産体制を貫いたことで、ものづくりの現場にも本当の意味で底力がついてきました。

人の繊細な感覚と自動化技術で世界のリーダーへ。
「グローバルカテゴリーキラー」の地位確立への布石。

2023年12月期の通期業績予想は、売上高300億円(前期比108.8%)、営業利益18億円(同120.9%)、経常利益18億円(同117.8%)、当期純利益11億5,000 万円(同114.3%)と計画しております。原材料費、人件費、水道光熱費等はさらに増加する見込みで、品位の向上に伴う価格改定と新商品の投入、定番商品のブラッシュアップが目標達成のポイントになります。後半にかけて加速するのが当社の特徴ですので、業績の上振れが確認できた場合には上方修正できるよう取り組んでまいります。
2023年12月期の業績予想はこちら

2023年12月期は、水産食品分野の「グローバルカテゴリーキラー」としての地位を確立するための布石を打つ1年です。2024年以降のさらなる成長に向けて基盤を固める時期と位置づけています。ROE(自己資本利益率)を20%まで高め、堅実経営を進めていると証明することも目標の1つです。

テキスト:GLOBAL CATEGORY KILLER / 水産食品分野の「グローバルカテゴリーキラー」

当社が掲げる「グローバルカテゴリーキラー」とは、市場規模は限定的でも世界の期待が高まる水産食品分野に焦点を絞り、グローバルリーダーになることを意味する長期的なビジョンです。その軸が、人でなければできない独自の製法・技術と自動化・省人化のテクノロジーです。
人でなければできない独自の製法・技術とは、たとえば鯖の皮を焼く作業、魚の骨をとる作業などがそうですね。当社ではセブン-イレブンの『さばの塩焼』向けに、いつでも焼きたてのパリパリ感を感じていただける新製法を開発しました。また、魚の骨をとる技術を進化させて、素材の風味を損なわないよう塩だけで味付けした骨とりさばは、食べやすくてアレンジの幅も広いのでワインやビールを好む外国人の方のファンが増えています。

いずれも、世界に通用する技術と自負していますが、高性能な機械を揃えるだけでは品質を維持することは不可能です。人の繊細な感覚にこだわりながら製法を進化させ、生産ラインの自動化・省人化を推進してコストをコントロールする。それを継続することによって他社との差別化をはかり、開発・生産環境を一定期間ごとに刷新することで参入障壁を高めていく。それが当社の目指すビジネスの形です。

生産設備拡大の遅れは既存工場の能力向上とM&Aで補填。
セブン-イレブンとの取引は国内およびアジア市場の拡大、北米進出がテーマ。

「グローバルカテゴリーキラー」を目指すための重点施策として、今期は研究開発の強化による新たな製法・製造技術の追求を進めるとともに、STIミヤギデイリーラインの本格稼働を目指します。滋賀工場の建築計画の見直しによる生産設備拡大の遅れは、既存工場の生産キャパシティの向上と臨機応変なM&Aで補う計画です。M&Aによるバックアップ工場の取得・設立は、関西全域を対象にスピード感を重視して進め、2024年度の本格稼働を目指します。

その一方でセブン-イレブンとの取引拡大にも注力します。国内については新商品の投入(今期は20アイテム以上のメニューバンクを準備)と水産冷凍食品の本格稼働が軸になります。海外については引き続き北米市場の視察を進めていきますが、当面はアジア市場での取引拡大がテーマ。特に重視しているのは、昨年7月から本格的にスタートした台湾セブン-イレブンとの取引です。コロナの影響で意思疎通に苦労したところがあった昨年とは違い、今期は大きな障壁はありません。現地の商品部と技術と製法についてディスカッションを重ね、現地の方の味覚にマッチした商品を提供していきます。

写真:十見裕代表取締役社長

上場から3年で株主数は1万名を突破。
成長への意欲はさらに強くなっています。

株主還元については、前期並みの配当金(55円)および年2回の株主優待を継続する方針です。会社の成長の根源は、おいしいものをつくって消費者の皆さんに評価していただくことですので、縁あって当社の株主になっていただいた皆さんには、ぜひ、私たちがつくったものを味わい、評価していただきたいですね。その上でファンになっていただけたら、こんなにうれしいことはありません。現在まで、当社のブランド缶詰『STONE ROLLS(ストンロルズ)』『FIRE PORTS(ファイヤポーツ)』『燻肴(ibusa)』を進呈しておりますが、今後はこれまでにない冷凍食品をお届けすることも考えておりますので期待していただければと思います。

写真:『STONE ROLLS(ストンロルズ)』『FIRE PORTS(ファイヤポーツ)』『燻肴(ibusa)』

上場3年目を迎え、当社の株主数は1万名を超えました。とても名誉でありがたいことであり、社会的責任を果たしながら成長を続けていきたいという気持ちはさらに強くなっています。
今期をベースに成長を続けて、3年後には国内売上500億円と海外売上100億円を目指したいです。そしてその先には、グローバルカテゴリーキラーになるという目標があります。
達成の喜びを、社員ならびにすべてのステークホルダーの皆様と分かち合うため、私自身も健康管理を徹底し自らを律してまいります。株主ならびに投資家の皆様におかれましては、ぜひ当社のこれからにご期待いただき、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

成長を楽しむ

配当金・配当性向

当社は利益配分につきましては、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題の一つと認識し、将来の企業価値向上と競争力を極大化すること、また企業体質強化のための内部留保を勘案しつつ、現在は業績に見合った利益還元を行うことを基本方針としております。

株主優待

対象となる株主様 基準日時点の株主名簿に記載された100株(1単元)以上を保有されている株主様
基準日 12月末日(期末)/6月末日(中間期末)
優待品発送日 期末優待品:3月下旬ごろ
中間期末優待品:8月下旬ごろ
優待内容 株主様限定の当社商品

2022年12月期 期末の優待品

写真:優待品

当社ブランド缶詰
「STONE ROLLS(ストンロルズ)」
「燻肴(ibusa)」
「FIRE PORTS(ファイヤポーツ)」より
厳選した9缶をお贈りいたしました。

ロゴ:STONE ROLLS(ストンロルズ)

写真:STONE ROLLS(ストンロルズ)/金華さば水煮
熟成
金華さば水煮

三陸・金華山沖を含む、北部太平洋海区で獲れた大型で脂肪が豊富なまさばのうち、石巻港に水揚げされたもののみが「金華さば」と呼ばれます。その金華さばを冷凍することなく鮮魚のまま缶詰にし、素材の旨味を引き立たせる伊達の旨塩のみ使用して、水煮に仕上げました。脂乗りが良く、身も柔らかい、金華さば本来の味わいをお楽しみいただけます。
缶詰は熟成させるとさらに美味しくなります。今回は食べごろに熟成した商品をお届けしました。

写真:STONE ROLLS(ストンロルズ)/さばハリッサ
さばハリッサ

原料には国産のさばを使用し、唐辛子をベースにクミン、ガーリックなどで調味した地中海生まれの香辛料「ハリッサ」ソースがクセになる辛くて刺激的なさば缶詰です。そのままお酒のおつまみに、ごはんや麺にもよく合います。

写真:STONE ROLLS(ストンロルズ)/さばオリーブオイル
さばオリーブオイル

原料には国産のさばを使用し、エクストラバージンオリーブオイルで調味することで、液がそのままドレッシングになり、サラダにかけても、パスタにあえても美味しいさば缶詰です。

写真:STONE ROLLS(ストンロルズ)/さばカリー
さばカリー

玉ねぎ、トマト、各種スパイスでじっくり煮込んだカレーに、国産さばの旨味が溶け出した、お酒にもごはんにも合う絶品のさばカレーです。

写真:STONE ROLLS(ストンロルズ)/さばめんたい
さばめんたい

原料には国産のさばを使用し、ぴりっと辛い辛子明太子を合わせたオリジナル缶詰です。独自に調合した調味液に漬け込んだ博多辛子明太子が、さばとよく合います。オリーブオイルを加えてまろやかな味わいに仕立てました。そのままはもちろん、ごはんのお供やパスタ、サラダなど様々な料理にもお使いいただけます。

ロゴ:燻肴(ibusa)

写真:燻肴(ibusa)/燻肴ひとくちスモークサーモン
燻肴ひとくちスモークサーモン

厳選したサーモントラウトに黒糖をまぶして一晩熟成し、旨味を引き出しました。相性の良い桜チップで燻した本格的なスモークサーモンをそのまま缶に詰めています。サーモン本来の味わいと桜チップの燻香が愉しめる逸品。食べきりサイズなので、お酒のおつまみや小腹がすいたときにぴったりです。

写真:燻肴(ibusa)/燻肴ひとくちスモーク金華さば
燻肴ひとくちスモーク金華さば

宮城県の石巻港に水揚げされた金華さばに黒糖をまぶして一晩熟成し旨味を引き出し、相性の良いホワイトオークチップで燻した本格的なスモーク金華さばをそのまま缶に詰めています。

ロゴ:FIRE PORTS(ファイヤポーツ)

写真:FIRE PORTS(ファイヤポーツ)/びんながまぐろ青唐辛子仕立て 2缶
びんながまぐろ青唐辛子仕立て 2缶

今回の株主優待品として、特別に創作したFIRE PORTSブランドの一品です。お刺身用のびんながまぐろを贅沢に使い、利尻昆布や国産しいたけ等のだし汁とこだわりのブレンドオイルを合わせ、花藻塩と青唐辛子で仕立てました。青唐辛子がピリリときいた和風味ですが、エスニック料理に合わせても美味しくお召し上がりいただけます。